NHK 仕事の流儀「新型インフルエンザを食い止める~進藤奈邦子~」を見て
September 30, 2009 – 3:13 pm昨晩、NHK「仕事の流儀」なる番組を見た。例の「脳科学者」茂木健一郎をキャスターとする番組だ。あまり好きになれない番組だが、昨晩は、WHOで働く日本人医師、進藤奈邦子さんの話し、なかなかいい番組だった。新型インフルエンザを知るうえでも、とっても参考になった。メモしておくことにした。
番組の内容: NHKの番組表では以下のように紹介されている:
今、全世界で猛威を振るう新型インフルエンザ。世界の司令塔WHOで、新型インフルエンザ危機対策チームの統括を務める日本人医師・進藤奈那子に密着、最前線を取材した。
今、全世界で猛威を振るう新型インフルエンザ。未知のウイルスと闘う世界の司令塔、WHOで、新型インフルエンザ危機対策チームの統括を務める日本人医師がいる。WHOメディカルオフィサー、進藤奈邦子。2009年6月、WHOがパンデミック(世界的大流行)を宣言した直後から、ジュネーブのWHO本部で世界各地の最新情報を収集・分析、治療方針を打ち出す進藤に密着した。最新情報をまじえてお送りする緊急特集。
新型インフルエンザへの対策は?: 番組の後半で、進藤医師が今回の新型インフルエンザの特徴を説明されていた。ここで、おぼえておいておかなければと思ったのは次のこと(記憶によりメモしたものなので正確さには欠けるおそれがある)、;
- 今回の新型インフルエンザ、感染してから病状が進行するのが非常に速い。できるだけ初期段階で、タミフル、リレンザを投与することが重要
- 新型インフルエンザウィルスは比較的「安定」でより悪性のウイルスに変異することはなさそう。(一応の流行が終焉すると)季節性インフルエンザの範疇に移行してゆくものと思われる
- 今後、冬を控えて、流行のピークになってゆくことが予想される
- 予防するためには、インフルエンザの感染は「飛沫感染」であるので、それに即した対応が重要。また、インフルエンザウィルスに汚染されたものに触れたため汚染した手から自分の(目とか口とかの)粘膜を通じて感染することになるので、それに対応すべし
- 疲れなど免疫力が低くならないような状態を維持する
といったところ。このうち、「ウイルスがかなり安定なものであり、今後、より危険なものに変異する可能性は低い」との説明でひとまず安心。
番組のなかで興味深く思ったことがある。進藤医師がインフルエンザの流行しているタイを視察している場面での彼女の格好、マスクなど特別な防護をしていないことだ。この春先にみた、わが国の「水際作戦」のときの宇宙服のような防護はなんだったんだろうと考え込んでしまった。
ワクチンを接種しており、特別な防護を必要としないということなのか、あるいは感染メカニズムを十分理解しているので特別な防護措置をとらなくても問題ないということなのか?(たとえワクチンが接種されていても感染率が低くなるということなのでは?) 感染予防を考えるうえでも、このあたり尋ねてみたいものだと思った。
国際機関であるがゆえの難しさを番組のなかに垣間見た。ロシアから、「タミフルとかリレンザとは異なるロシア産の治療薬を使いたいのでWHOとしてのお墨付をしてほしい」との要請があった場面。当然、進藤医師、NOとの返答。
治療薬の有効性も不明な状態で、WHOとして、お墨付きをだすことはできないというのは当然である。が、「大国」ロシアの要求、バランスに生きる国際機関の担当者としては難しい対応なのでは、と思ってしまった。医療を超える判断も求められる国際機関職員としての職務上の難しさを感じてしまった。
番組の進藤医師に対し、番組の最後に茂木健一郎が深刻な表情で、「人類のために頑張ってください」といったのに対し、声をだして笑いながら、「できることをやりたいと思います」と返答していた。この彼女の応対を見て、このひと本物の優秀な医師だ、と思った。WHOという国際機関で働く日本人女性の底力を見た思い。同じ日本人として、誇りに思った。
私、かなりのナショナリストだと再確認。ナショナリズムを前提としないインターナショナリズムなどあるわけがないものね。