住基カードの取得から1年経って
February 21, 2008 – 1:41 pm今年も確定申告の時期がやってきた。この時期になると、確定申告にe-Taxの利用を薦めるキャンペーンが行われる。日本経済新聞(2月17日朝刊)の社説でも、「ネット納税で手間を省こう」というタイトルで、「ネット納税を柱に電子政府の実現を急ぐ必要がある」としている。私も、昨年に引き続き、e-TAXを活用して確定申告を行ったばかりだ。
昨年の確定申告の経験談は、3つの記事として、このブログに記録している。「電子政府はどこまで進んだのか(e-Tax体験記)」、「確定申告と徴税システム」、「e-Taxシステムと個人認証基盤」の3つの記事だ。これらの記事で、e-Taxシステムの使用経験と、その普及の障害が何であるかを少し考えた。
さて、1年が経過して、このe-Taxシステムどれだけ進化したのか?興味深いところである。前掲の日経の社説によると、住基カードの利用実績について、次のように述べている:
昨年2007年の住基カードの利用実績は、1月末で約百六十万件。利用率はようやく五%に近づいた。申告手続きの七割を占める所得税は、06年度実績で約2%しかなく、個人の利用拡大が急がれる。
(中略)
所得税の電子申告は韓国やオーストラリアが進んでおり、普及率は八割に達する。米国やカナダも五割超え、先進国では日本が最も低い。国連の電子政府ランキングで日本は十一位に上昇したが、他の指標では、もっとも低い順位に甘んじている。
やはり住基カードシステム、最も個人の関心のあるe-Taxシステムでさえ、あまり普及していないようである。国税庁も、普及に向けて対策らしきものを考えているのは確かだ。対策として、「ネット納税者には最高で五千円の税額控除」、「添付書類を提出しなくてよい(但し、3年間保存)」などがある。「添付書類を提出しなくてよい」としたのは、かなりの改善だ。しかし、この程度の普及策では、目標の10年度に50%は望みうすというのが、これを利用しているユーザーとしての私の実感だ。これらの対策、昨年の確定申告の時期に明らかにされていたもの、やっと1年たって、実行に移されたというものだ。
我が家、今年は、私だけでなく、妻もe-Taxを始めるようにした。私が、妻に、始めるように仕向けたというのが正確なところだ。私が仕向けた理由はふたつある。まず、第一に、確定申告により、多少ながらも税金が還付されるということ、第2に、私が住基カードの仕組みがどの程度改善、進化したのかを知りたいと思ったからだ。今回の経験から、昨年は気が付かなかった住基カードの普及が進まない原因の一部が少しだけ見えてきたように思う。
住基カードが普及しない理由として、様々のことが考えられる。普及の障害として、ICカードのリーダーを個々人が購入する必要があるということは確かかもしれない。しかし、もっと、構造的な問題があるように感じた。次回以降、何回かに分けて、今回の経験から見えてきた住基カード普及の障害について述べることにしよう。