気になったニュース: 原発安全費、想定の3倍超!
July 13, 2019 – 1:09 pm数日前の日経朝刊(7月9日付)トップに、原発の安全対策費用が想定の3倍以上に拡大していると報道されていた。この事態、我が国の電力会社全てについていえることのようだ。
こうした安全対策費用は、当然、発電コストのなかに組み込まれることになる。原子力による発電が採算のとれるものにするためには、太陽光発電など他の発電方式に比べ低コストでなくてはならない。
8年前の福島第一発電所事故の後、原子力規制委員会により「世界で最も厳しい安全規制」の適用が求められた。この規制が有効かどうかは別にして、これをクリアするために積み重なった安全対策費により原子力による発電が採算のとれないものになるのは容易に想像できる。
月並みな主張になるが、可能なかぎり、太陽光、風力など再生可能エネルギー技術にシフトすることが求められる。
この日経記事のリード文は以下(転載):
原子力発電所の安全対策費が電力会社の想定を上回り、各社に対策を迫っている。厳しい安全基準が導入された2013年時点から国の原子力規制委員会が求める対策が追加され、各社の対策投資は軒並み増えた。最も多い関西電力は1兆円規模に達する。事故の備えとしての安全対策費が増えれば、原子力を発電コストの低い安定電源と位置づけてきたエネルギー政策に影響を与える可能性がある。
この記事で注目したいのは、安全基準が厳しくなると安全対策費が増加するのは当然としても、福島事故直後に電力各社が想定した安全対策費の増加を電力各社が正確に見積もれなかったという点だ。
電力に限らず、一般の企業活動で事業計画を立てるうえで正確な見通しもないのに、事業が成り立つなんてことはあり得ない。
原子力による発電コストと再生エネルギーによるそれについて、同じ日経記事に書かれている。参考情報として、以下転載しておいた:
政府が15年に明らかにした30年時点の発電コストは原発が1キロワット時あたり10.3円以上と、石炭火力(同12.9円)、太陽光(同12.5~16.4円)に比べ安い。一方、新規の原発1基あたりの安全対策費が1000億円増えるとコストが1円高くなる。
海外では太陽光や風力の発電コストが10円を割り込む事例が増え、一部の地域では原発のコスト競争力が揺らいでいる。電力各社が原発の安全対策に投じる費用は結果的に電気料金に上乗せされることも想定される。
太陽光、風力による発電が採算のとれるものになってきていることに注目したい。