スウェーデンが原子力政策を転換

February 10, 2009 – 1:12 pm

スウェーデンは、30年前に起きた米国TMI事故後、国民投票により原子力全廃の方針を決定した反原子力政策の国として有名だ。そのスウェーデンが原子力発電所を容認する政策に転換するようだ。これまで水力、風力など再生利用可能エネルギー利用のリーダー的存在だったスウェーデンの方針転換、ヨーロッパの原子力事情が大きく変化していることを示す大きなニュースだと思う。

スウェーデンのエネルギー事情: スウェーデンはこれまで水力、風力を中心とする再生可能エネルギーの開発・利用を進めており、現状では、電力供給量の約40%がこうした再生可能エネルギーにより供給されており、再生可能エネルギーの利用割合がヨーロッパ諸国で最も高い国だ。ただ、その多くは、豊富な水資源を活用する水力発電である。

30年前、米国TMIの炉心溶融事故の発生を受け国民投票が行われ原子力発電全廃の方針をとることになった。しかし、その当時稼動していた12基の原子炉のうち、これまでに廃止されたのはわずか2基にとどまっており、残りの10基はいまだに稼動している。

原子力発電所の寿命を考えると、現在稼動している原子炉も廃炉時期も迫ってきている。これら原子炉が廃止されたのち、これに代えるエネルギー源をどうするかということを議論する時期にさしかかっているのだ。今回の原子力政策の転換は、こうした議論を反映するものではないかと推察する。当然のことながら、地球温暖化防止に向けCO2ガスの排出増加を抑制する必要も大きくはたらいたに違いない。

ただ、この原子力政策の転換、再生可能エネルギーの開発・利用を放棄するという話しではない。2020年までに再生可能エネルギーでエネルギー需要の50%をまかなうという計画も同時に表明されている。基幹とするエネルギーの主要な部分としての原子力の役割を見据えながら、再生可能エネルギーの開発・利用をさらに進めるという極めて現実的で正しい政策だと思う。

ヨーロッパ各国の原子力回帰の動きがめだっている。このブログでも、英国、イタリアなどが原子力容認の動きをとる兆しが現れていることについて書いたことがある。現在、フィンランドでは次期原子力発電炉EPRが建設中だ。

今後のヨーロッパ諸国の原子力事情に注目したい。

参考:
http://www.iht.com/articles/ap/2009/02/05/europe/EU-Sweden-Nuclear-Power.php


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