桜井 豊著「機械学習ガイドブック」を読んでみた

January 30, 2020 – 5:50 pm

この数カ月間、汎用計算機言語 Pythonを学んでいる。AIとか機械学習に関連したPythonの解説本を探しているなかで見つけたひとつが本書。

近所の公立図書館で、関連する本のなかで出版日が最も若いものだ。

本書の副題は「RとPythonを使いこなす」となっている。学習用に最適なのではと思って読んでみた。


一読した感想をひとこと:で述べるなら、私のようなAIとか機械学習の素人の読み物としては良い書物ではないか、といったところだ。

本書の第2章「機械学習小史:機械学習ブームの機番を作った主人公たち」では、この分野がどのように発展してきたのか、歴史的な流れが俯瞰されており、頭のなかを整理するのには役立ったように思う。

統計学の歴史のなかでベイズ統計が異端とされた時期があるが、機械学習の隆盛のなかで復権し、大きな役割を果たしているとの話、非常に興味深いものであった。

私にとって、AIというと1980年代にはやったエキスパートシステムをイメージしてしまうのであるが、2012年ごろからの機械学習の時代から最近のAI利用、特に「アルファ碁」の能力には驚きを禁じ得ない。本書は、その流れを分かりやすく解説してくれているように感じた。

アルファ碁そしてアルファゼロの驚異的な実力
第9章「さまざまなゲームの攻略法をゼロから学習するアルファゼロ」では、機械学習のさきを行く技術のすごみが解説されている。私のAIとか機械学習に対するイメージからは想像できないような世界だ。アルファゼロの実力について書かれている部分を、以下転載しておく:

2016年3月にDeepMindのアルファ碁が、囲碁界のトップ碁士のひおtりである韓国のイ・セドルを打ち破ったことは、AIの歴史のエポックメイキングな出来事であり、そのニュースは世界中を駆け巡りました。アルファ碁は翌年さらにパワーアップして、当時世界のナンバーワン棋士だった中国の柯潔(かけつ)にも完勝しました。
最初の論文はアルファ碁ゼロ(AlphaGo Zero)という機械では初期の学習用に利用していたプロの棋譜の利用をやめ、機械自身がぜろから学習して勝手に強くなるというものでした。この論文は自然科学の世界では有名な、イギリスのネイチャー誌に掲載されました。そして、そのすぐ後に発表されたのがアルファゼロ(Alpha Zero)です。アルファ碁ゼロまでは囲碁向けのソフトが作られていたのに対し、アルファゼロは同じソフトで将棋やチェスなどさまざまなボードゲームをゼロから学習することが可能になりました。囲碁や将棋のルールだけをインプットして学習させれば勝手に強くなっていくのです。そして、さらに驚くべきは、その強さはアルファ碁ゼロを含むほかの最強豪のソフトを凌駕する水準であったことです。(pp.204-205)

俄には信じられないAIの実力である。AIといえば、エキスパートシステムのようなものと思っていたが、全く異なるものとなっていることに驚きを感じた。

計算機言語 Pythonと R:
機械学習を学ぶうえで必須の計算機言語として PythonとRについて解説されている。

本書に示されている例題をフォローするかたちで実際に計算し、それなりの理解を深めることができたような気がする。

むしろ、この二つの言語の学習には計算機言語学習を目的とするテキストを使うのが良さそうな気もしないわけではなかった。
  

  


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