笹子トンネルの崩落事故で思ったこと

December 6, 2012 – 10:20 am

12月2日の朝おきた笹子トンネルの崩落事故には驚いた。高速道路の天井板が130メートルにもわたって落ちてきたというのだから大変だ。この天井板の崩落で思い出したのが、3.11の東日本大地震のときの私の体験だ。
東日本大地震の私の体験ではスイミングプールの天井板が私の頭上に落ちてきた。
天井を支える構造は、笹子トンネルもスイミングプールも共通だ。いずれも天井板を吊り下げているものだ。
感想を少しだけメモしておいた。

笹子トンネルの崩落事故: 笹子トンネルの事故について、事故内容そして原因について、つぎのように報道されている(Yahoo News(読売) 12月4日):

 今回の事故では、トンネル上部を換気通路として仕切るため、設置されていたコンクリート製の重さ1トンを超える天井板(縦1.2メートル、横5メートル、厚さ10センチ)が約130メートルにわたって崩落、車3台が下敷きになり、9人が死亡、2人がけがを負った。
 36年前のトンネル開通以降、天井板を固定する構造は改修されておらず、県警は、同社幹部がこの構造の老朽化を認識していたことを重視。経年劣化によって崩落が引き起こされるのかどうかも検証する。

私の体験(スイミングプールの天井崩落): 私が体験した天井板の崩落については大地震の20日後にこのブログにその様子を書いている。その部分を再掲する:

これまで、大きな地震(震度5程度)が起きるたべに体育館の天井が崩落するニュースを見たことがあった。天井、そしてライトが崩落することを警戒して、揺れのなか、それを注しながら見ていた。私が予測していたとおり、天井全面が崩落し、頭上におちてきた。即座に、水のなかに潜って、これを避けた。
 水のなかから上を見ると、プールを蓋するように大きな天井が落ち、水中の私の頭上は、「全面」、崩落した天井板で覆われてしまっていた。天井板を上部に押し上げようとしたがびくともしない。一瞬、このままでは溺れてしまう、と思った。あてはなかったが、天井板のないところを求めて、水中を必死に泳いだ。幸いにも天井版のないところにでることができた。

 ここでは、スイミングプールの天井板の崩落の様子については詳しくは書いていないが、その時の様子を思い起こしてみると、天井板の一部が上部の(吊り具がはずれ)落ちると、これに追随するように周辺の天井板が、そして天井全面が崩落していた。

 笹子トンネルの天井板の崩落について、「なぜ130メートルにもわたって崩落したのか?」との疑問がでているようであるが、私の経験から想像するに、天井板を上部から吊り下げる構造は、ひとたび天井板の一部(一枚といってもいいのでは)が吊り下げ金具が外れて落下すると、計算外の負荷が伝搬し、天井板がつぎつぎと崩落してしまうのではないか、と思う。

事故原因のひとつは吊り下げ構造では?: 笹子トンネルの崩落事故のあと、事故原因について調査が進んでいるようだ。原因として、メンテナンス(吊り金具のチェックなど)の不備、経年劣化などが挙げられているようである。こうした原因に加えて、そもそもの構造的な欠陥があったのではないかと考える。

当然のことながら、メンテナンスそして経年劣化などは直接的な原因であることは論をまたない。しかし、吊り金具で天井板自体を支えようとする構造が果たして安全上許されることであったのか?私の経験したスイミングプールの天井崩落の様子を思い起こしてみると、こうした構造上の欠陥を問題にしなくてはならないのでは、と考えるのだ。

今回の事故と同様の構造をしたトンネルがかなりの数、存在するようである。緊急点検は当然ではあるのだが、天井板を吊り下げる構造自体をあらためることが必要になっていると考える。

それにしても、今回の笹子トンネルの崩落事故から、大地震のときの経験を思い起こし、あらためてゾッとしたところだ。


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