年金システムの維持は消費税率アップしかないのでは?

June 25, 2008 – 2:24 pm

今朝の日経(6月25日付け朝刊)の「経済教室」に、八代尚宏・国際基督教大学教授による論文がでていた。この論文、「社会保障国民会議-隠れた論点」は、社会保障を税方式にすることがいかに合理的か、を説明している。我がブログでも、数ヶ月前に、「年金問題と消費税」と題する記事を書いた。ここで、「消費税をアップした財源で年金制度を維持するという案が(社会保障制度維持の)切り札」と主張した。

最近、「社会保障問題」解決のための「消費税率の引き上げ」の議論が盛んになってきている。福田首相の、外国人記者クラブでの「消費税引き上げの時期」発言が話題になっているが、かなり勇気ある発言だ、と思う。消費税率を上げたら、自民党は次の選挙で敗北確実なのかもしれない。しかし、やるべきだ。福田さん、いい意味で、後世に名を残すことになるに違いない。少なくとも、私、これをやったら、自民党を応援したい。消費税を社会保障のみに充てるという条件はあるのだが、・・・・。

こんななか、八代尚宏教授の主張は、時期を得たものだ。この記事、社会保障国民会議の中間報告を批判するものだ。税方式の合理性を主張していて、かなり説得力がある。記事を引用しながら、私の感想を述べてみよう;

(保険方式と税方式)の違いは、税方式が国民年金保険料のような頭割りの定額負担ではなく、個人の消費額に応じた定率負担で、定額給付と対応しなくなるという点である。・・・・これは、むしろ所得格差是正の観点からは望ましく、保険料は所得比例だが給付は疾病毎に平等な医療保険と同じ原理でもある。

(基礎年金の給付財源を消費税とする)消費税率引き上げは財政再建のためではなく、保険料引き下げの見返りで、国民全体の負担増にはならない。未納者や免除者には負担増になるが、低所得者の免除者は保険方式より将来、給付増が期待できる。負担者の範囲が広がる分だけ被保険者一人当たりの平均的負担も軽減され、負担の公平性の観点からも望ましい。

消費税は、非累進課税で低所得者、弱者に過酷な税方式であるとされるが、現在の頭割りの保険料方式が、もっと過酷だ。なにしろ、ひとりあたり月額約14,000円もの負担をしなければならない。夫婦ふたりで28,000円、年額にすると336,000にもなる。大変な額だ。これを消費税で払うとなると、5%の税率アップの場合、生活費相当額が6,720,000円以上の所帯にとっては、出費増ということになるが、これ以下の生活費の所帯では、むしろ負担は下がる。

しかし問題は無くはない。年金生活者も消費税を支払わなくてはならないということだ。これについて、この記事では、

消費税方式の大きな課題は、既に基礎年金保険料を完納した高齢者層が、引退後も年金目的消費税を払い続けなければならないことである。しかし、これは消費税率アップ分が物価スライドを通じて年金給付に反映されることでその大部分が相殺される。

団塊世代が引退期を迎える現在、社会保障制度を通じた貧しい高齢者の扶養負担を、後代世代に先送りするのではなく、同世代の豊かな高齢者も担う必要がある。これは低所得・低資産の高齢者の最低生活を保障する制度を充実させ、その費用を高齢者も含めた幅広い層が消費税の形で負担することで実現できる。

とする。確かに、私も団塊世代、これから年金生活に入るものにとっては、消費税アップは厳しい。しかし、年金を含む社会保障システムがきちんと維持されていくならば、それ相応の負担をする覚悟はある。特に、物価の上昇など、世の中の変化に対応できる、きちんとした、システムを作ることは非常に重要だ。

こうしたシステムを導入する壁は何か?興味深い指摘がされている:

・・・・本来、消費税方式と保険方式とは、組織防衛の立場を離れれば、必ずしも対立する概念ではない。社会保険料は厚生労働省の目的所得税であり、これを基礎年金部分だけ、財務省の目的消費税に移すだけのことである。

そうなのか。役所の「組織防衛」という立場、これが結構、こうした改革の障壁になるのだ。「組織防衛」ということについて言えば、道路財源でも、いろいろもめている。ありそうな話だ。このあたりは、福田さん、がんばって欲しいと思うのは、私だけか?

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