個人事業の決算書作成(「事業主」関連科目の取り扱い)

February 1, 2012 – 12:38 pm

前回、2011年度の確定申告を済ませたことを書いた。確定申告するにあたっては、青色申告ということで、個人事業の決算書も作成した。決算書のうち貸借対照表の作成は、結構、骨が折れる作業と感じた。貸借対照表の背景になる概念を理解するのがなかなか難しいのだ。個人事業が2年目を超えたところで、年度をまたいでの決算書、特に貸借対照表を作成する際に大切と感じたことをメモしておいた。

個人事業の決算に特有なこと: きちんとした法人となっている会社と個人事業では、帳簿、決算書の作成、利益についての考えかたに大きな違いがある。会社(法人)の場合は、経営者には給与、(役員)報酬がある。これに対し、個人事業においては事業主には給与なるものが存在しない。

個人事業の場合、仕事で稼いだ売上げから生活費や個人で使う費用を支出するとか、逆に個人事業を運営するために、事業主個人のふところから資金を出すといったことになり、「事業主としての個人」と「事業と関係のない個人」の境を明確にすることが難しい。

この境を明確にするために、個人事業においては、「事業主貸」と「事業主借」と呼ばれる勘定科目が認められており、それに基づいて帳簿・決算書が作成される。

事業主貸: 個人事業の場合、仕事で稼いだ売上から生活費や個人で使う費用を支出する。これらの費用を帳簿上では「事業主貸」として処理する。この支出は、事業主の「私」が、個人としての「私」に生活費などの事業に直接関係のない費用を工面した、貸したものとして処理されるわけだ。

事業主借: 個人事業を営むうえで必要な運転資金などの資金を工面するとか、事業拡大に必要な資金を個人のふところから事業用に拠出する場合、それを「事業主借」として処理をする。事業主の「私」が個人としての「私」に事業に必要な費用を借りたとして取り扱うわけだ。

年度が変わるときの処理: 「事業主貸」、「事業主借」というかたちで、「事業主としての個人」と「事業と関係のない個人」の間で行き来していた資金は、新年を迎える大晦日からお正月にかけて、帳簿上清算する。

「事業主」勘定は新年を迎えるにあたってリセット、即ち「事業主貸」、「事業主借」はどちらもゼロにリセットする。これらの勘定科目にあったものは、前年の利益(「控除前所得金額」)、元入金と合わせて新年度の元入金として処理する。

ここで、新年度の元入金は、以下のように計算される:

 新年度元入金 = 旧年度元入金 + 事業主借 - 事業主貸 + 控除前所得金額


Post a Comment