気になったニュース: 「東京の抗体保有0.1% 欧米より低く」

June 20, 2020 – 6:04 am

日経(6/17付朝刊)に「東京の抗体保有0.1% 欧米より低く 第2波へ警戒」という記事がでていた。

この記事のリード文は以下:

厚生労働省による新型コロナウイルスの初の大規模な抗体検査の結果が16日、公表された。過去に感染したことを示す抗体保有率は東京0.1%、大阪0.17%、宮城0.03%で、欧米の報告より低い。多くの人が免疫を獲得し感染が終息に向かう「集団免疫」まで時間がかかると見込まれ、感染が再び広がる「第2波」への警戒が必要だ。

同記事によると、大規模流行が起きている米ニューヨーク市の抗体保有率は19.9%だという。東京のそれは0.1%と比較にならないくらい低い。

この結果をどのように評価すればいいのか?

抗体保有率と感染者数
我が国ではPCR検査が少ないので、報告感染者数は実際の感染者数より相当低く、実際の感染者数はかなり大きなものと言われていた。今回方向された抗体保有率を用いて、東京都とニューヨーク市で10万人あたりの累積感染者数と抗体保有者数を算出し、比較してみると次のようになる

10万人あたりの  10万人あたりの
累積感染者数(人) 抗体保有者数(人) 抗体保有者数/累積感染者数
東京都    40.5   100   2.5
ニューヨーク市    2,200   19,900   9.1

抗体保有率が感染数を正確に反映していると考えると、東京都の感染者数は、PCR検査で確定された数の2~3倍程度となる。一方、ニューヨーク市においては、10倍程度となりPCR検査で捕捉されていない(隠れ)感染者が大きい。

この結果を見る限り、我が国の感染者数がPCR検査数が少ないので感染の実態を反映していないとの危惧は的を得てないということになる。逆に、ニューヨーク市には相当数の(隠れ)感染者が存在しており、検査が不十分ということになる。

日本の感染者数が低い理由について考えてみると、PCR検査が効率よく効果的に行われたということがあるのではないかと思われる。

感染症に対応するには、十分な検査を行い感染者を早期に発見し隔離することといわれる。我が国で採られている一見古臭い「クラスター狩り」による感染者のあぶりだしが効果的だったように感じる。抗体保持者数が感染者数の2~3倍程度に収まっていることがそのことは、その傍証としてみていいような気がする。

加えて、欧米に比較した東アジアの人口当たりの感染者数の少なさは、自然免疫などなんらかの理由で東アジア特有の事情があるのではないか。

抗体保持者数が少ないことをもって第2波への警戒が呼びかけられているが、これまでの感染者数の推移をみると、そう心配することはなさそうな気がするがどうだろう。

希望的な観測なのかもしれないが・・・。


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