久しぶりの入院生活

July 6, 2020 – 5:14 pm

今月の初めから入院生活を送っている。今日で7日目、あと数日で退院し、その後は外来治療をすることになっている。

5年前には糖尿病治療のため自宅近所の公立病院に入院。そして、10年前には盲腸炎で1週間入院した。このところ、5年ごとに、入院を繰り返している。この歳になると、病院のお世話になる回数も増える。

今回の入院は、15年前に治療を終え治癒したはずと思っていたリンパ種が再発、その治療のための入院だ。15年も経って再発するようなことはないと思っていたので、再発に気づいた時には、正直、驚いた。

ただ、この15年間、いつの日かこの日がやってくるに違いないと、定期的に経過観察をしてもらっていたので、素早く対応することができた。また、心の準備もできていた。15年前に発症した時には、正直、狼狽たが、今回はそれなりに冷静に対処できた。ある種の「危機管理」が出来ていたように思う。

15年間で治療法も進歩
リンパ腫の治療法は随分進歩しているように聞いている。今回の治療に、最近の進歩・成果が取り込まれ、うまく行くことを願うばかりだ。

15年前に治療をした際に、私の患ったマントル細胞リンパ種の薬としてリツキサンという薬が新たに保険適用になった。私の治療にも、この新薬が使われた。

このリツキサン(リツキマブ)という薬は分子標的薬の一種で、「リンパ球B細胞やB細胞性リンパ腫細胞に発現しているCD20抗原というタンパク質に結合し、結合した細胞を破壊(溶解)することでこれらの細胞の増殖を抑える薬」だ。「悪性リンパ腫は白血球の一種であるリンパ球のがんで、CD20抗原というタンパク質がB細胞性リンパ腫細胞などの細胞表面で多く発現している」ので、CD20抗原に選択的に結合し悪性リンパ種を抑える。遺伝子工学の成果のもとで開発された。

今回の治療でも、このリツキサンが使われるが、これに加えて15年前にはなかったトレアキシン(ベンダムスチン)という化学製剤も使用することになっている。この薬について、15年前に治療を担当していただき、半年前まで経過観察をしていただいていたお医者さんが7、8年前に「とても良い薬が開発された」と言われていた。

今では、リツキサンとトレアキシンを合わせて使うのが標準的な治療法になっているようだ。1週間前に第一回目の治療をしたところだが、今のところ抗がん剤治療の副作用もそうひどくなく少し安心している。

とにかく、私の患っている悪性リンパ腫という病気に対する薬、次々に新しいものが開発されているようだ。病と共に生きていることで、新たな薬が開発される展望が開けることもありそうだ。

有難い健康保険制度
今回の治療には、主に、上述した二つの薬が使われるようだ。これらの薬、ともに、高価なものだ。公開されている薬価基準点数から1サイクルの薬代を試算してみると、おおよそ50万円にもなるようだ。今回の治療では、全体で6サイクルの治療が行われることになっているので、薬代だけで300万円程度になる。

私の場合、国保の枠組みが70代一般の2割の自己負担ということで、約60万円の負担ということになるが、高額療養制度という仕組みで、なんとかやりくりできる範囲に収めることができそうだ。

我が国の健康保険制度、本当に有難い。

病院のIT化
今回入院している病院は民間の総合病院だ。私の居住域では、リンパ種の治療のできる血液内科を持つ唯一の病院だ。前回(15年前)の治療を担当していただいたお医者さんがリタイアされたこともあり、一番近い血液内科があるということでこの総合病院を紹介していただき転院した。転院時には、経過観察だけを期待していたのだが、転院直後の検査ではなんの症状も認められなかったのに、その一月後には再発の症状が現れ、治療をお願いすることになった。

今お世話になっている病院、大きな総合病院ということもあるのか、いろいろな意味でシステム化が進んでいる印象だ。

例えば、入院患者はリストバンドをされ、このリストバンドにはバーコードが印刷されている。病棟内での血液検査、点滴など投薬などは、バーコードで一元的に管理されているようだ。10数年前、医療現場でのヒューマンエラーが社会問題化したことがあったが、こうしたシステムの導入によりかなりエラーも低減されるように思う。

久しぶりの総合病院での入院の経験、感心することが多い。


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