「高額療養費制度」のお世話になった

April 25, 2015 – 4:38 pm

この4月の初め10日間ばかり入院していた。

たとえ、今回のように、短期の入院で経度な病気であっても、医療費はそれなりになる。国保の3割負担でも、1日の入院費用は1万円程度、10日間でしめて10万円程度を支払うということになる。退院する際に病院窓口で支払いをすることになるが、一部の病院を除いて、クレジットカードでの支払いもできないので、それなりの額の「現金」を準備しておかねばならない。

そこで役立つのが「高額療養費制度」。病院窓口での支払いは、「自己負担限度額」以内で収まる。退院時には、多くても、この「自己負担限度額」プラス入院中の食費ということになる。

今年、平成27年1月からこの「高額療養費制度」を活用すると、年金生活者である私の所得、年齢では、(暦月毎ではあるが)自己負担額は57,600円ということになっている。なんとも、ありがたいことだ。病院窓口には、60,000円程度を準備しておけば良い、ということになったのだ。ありがたいことだ。

制度の仕組み、手続きなどについて、私の経験をおりまぜながら、メモしておいた。

高額療養費制度とは?: この制度の概要は厚生労働省保険局の「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成27年1月診療分から)」に詳しく説明されている。

この資料のなかで、この制度の概要は次のように記されている(以下、転載):

高額療養費制度は、家計に対する医療費の自己負担が過重なものとならないよう、医療費の自己負担に一定の歯止めを設ける仕組みです。
・・・
医療機関や薬局の窓口で支払った額(*)が、暦月(月の初めからおわりまで)一定額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。
*入院時の差額ベッド代等は含みません。

この高額療養費制度はかなり古くからあったが、2007年以前は、病院窓口で自己負担分全額を支払い、被保険者が申請すれば3~4か月後に、限度額との差額を受けるという仕組みであった。今の仕組みになったのは、入院療養については2007年4月から、そして外来診療については2012年4月からである。

自己負担限度額は?: この自己負担限度額は、患者の年齢、所得水準などにより異なる。70歳未満、70歳以上のそれぞれについて、次のようになっている(厚生労働省のHPから転載):

自己負担限度額[70歳未満--]

自己負担限度額(70歳以上)

制度の詳細については、厚生労働省のHPを参照にするとよい。

限度額適用認定証: この高額療養費制度の仕組みを活用するには、窓口での医療費の支払いに先立って、(国保では)居住する自治体から「限度額適用認定証」を取得しておかねばならない。保険証と印鑑を持って申請すれば、申請したその日に、即日、発行してくれる。国保以外の健康保険組合では、組合がこの認定証を発行してくれるはずだ。

この限度額適用認定証には、各々の被保険者(世帯)を所得水準に基づいてア~オの5段階に区分し、その区分に沿って自己負担限度額が設定している。国保あるいは健康保険組合では、被保険者の所得を把握しているので所得証明書など特別なものは必要ない。

私の場合には、退院の前日にこの「限度額適用認定書」を取得した。

病院の窓口で、健康保険証とともに、この限度額適用認定証を示すと、前述したように、窓口での支払いは(入院中の食費などを除いて)「自己負担限度額」にとどまる。

病院窓口でおきた不思議なこと: 患者にとっては、この「高額療養費制度」というのはありがたい仕組みだ。どの自治体でも、そのHPで「限度額適用認定証の交付を受けましょう」と、認定証を申請することを促している。

ところが、だ。

私の入院していた病院の窓口では、「限度額適用認定証」を示しているのにも関わらず、この限度額を超えた金額が請求された。こちらの指摘で、実際の支払いは限度額でおさめることがでいたのだが、この制度の恩恵を受けることができない事態になるところだった。

実は、支払いに先立って、病院窓口で「高額療養費制度」の利用について問い合わせをしていたのだが、きちんとした制度の説明を受けることができなかったのだ。不思議なことに、病院の窓口では、誤請求したことについて、なんの謝罪もなかった。請求金額を不審に感じて請求書をもとめたのであるが、「請求書は発行できません。明細と領収書になります」なんて返答。なんてことだ。

この病院、実は、自治体が建てた公立の病院、運営はどこかに「丸投げ」しているもののようだ。この「高額療養費制度」、どうやら、私の入院した病院では、患者に利用して欲しくないもののようだ。

そこでひとつおかしなことに気が付いた。わが国の病院では、請求書は発行されない。患者は、中身を吟味することなく、支払いに応じるのが当たり前のようだ。

ここで一言、どんな有難い制度があっても、これを活用する我々自身がしっかりしないと機能しないな!


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