気になったニュース: 政府、トリチウム汚染水海洋放出の方針固める

October 16, 2020 – 10:49 am

今朝のTBSラジオ森本毅郎スタンバイで、政府は福島第一原発の汚染水を海洋放出する方針を固めたと報じていた。

ニュースの内容は以下(書き取り):

東京電力福島第一原発では増え続ける放射性物質トリチウムを含む水の処分方法について政府は海洋放出とする方針を固めました。一方、漁協の全国団体などが 昨日、小泉環境大臣を訪れ、海洋放出されれば風評被害は必至で我が国の漁業の将来に壊滅的な影響を与えかねないとして海に放出しないように要請しました。


菅首相は、安倍時代の積み残し案件に、次々、手を打っている。少々摩擦が生じても、さっさと片付けてしまおうとしている。就任して、10日後には、福島第一頑発を視察。「できるだけ早く政府として責任を以て処分方針を決めたい」と表明している。(日経(9/26))。良し悪しは別にして、スピード感はある。

このトリチウム汚染水問題、本ブログでも比較的詳しく議論したことがある(「福島第一の汚染処理水は海洋・大気放出?」)。

海洋放出するのが最善で、それ以外の方法はない。その他いろいろな方策も議論されているようだが、議論を先送りする「絵空事」に過ぎない。

ただ、海洋放出するにあたっては、汚染水中に含まれるトリチウム以外の放射性物質を除去し、その濃度を可能なかぎり下げることが必要だ。現在、汚染水のなかにはトリチウム以外の放射性物質が含まれており、その濃度が「基準を超える」ものが汚染水の8割を超えている。海洋放出の前提として、「二次処理」によりトリチウム外の放射性物質を除去しなければならない。

今回の政府の動きは歓迎すべきことのように思う。所管大臣である小泉環境相も、漁協幹部と「のどぐろ」談義などでお茶を濁さないで、海洋放出を認めるよう説得するなど、海洋放出の条件を整える努力をすべきだ。

そもそも使用済み燃料に含まれるトリチウムは、再処理しようとすると、「全量」海洋放出することになってしまう。環境中へのトリチウムの放出を抑制するには「再処理」をせず燃料棒をそのまま処分する「直接処分」するほうがずっと良い。環境中にトリチウムを放出すべきでないという議論をするには、原子力を否定、最低でも核燃料サイクルを否定することしかない。

トリチウム水の海洋放出を問題にするより原発の再稼働に反対するほうがより理にかなっている。
  
  


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