NASH(非アルコール性肝炎)についての解説を聞いた

May 9, 2016 – 11:20 pm

今朝、森本毅郎スタンバイ(TBSラジオ)で医学ジャーナリスト松井宏夫さんがNASH(非アルコール性肝炎)という病気について解説をしていた。

私自身が糖尿病と診断されており、NASHが同じような生活習慣病であることから、この解説を興味深く聞いた。

放送された内容をメモしておいた。

医学ジャーナリスト松井宏夫さんって誰?
本題に入るまえに、解説をした松井宏夫さんについて調べてみた。肩書が医学ジャーナリストということで、毎週月曜日の森本毅郎スタンバイでいろいろな医学情報の解説をしているのは知っていたが、どんなひとなのか。

驚いたことに、この方、お医者さんではない。世にいうジャーナリスト、物書きを本業にするかたのようだ。なんでも、文系大学を卒業し、苦労の末、医学ジャーナリストとしてのキャリアを築いたというユニークな経歴の持ち主のようだ。2011年には、東邦大学医学部の客員教授として招聘されたという。

お医者さんと患者の橋渡しをしてくれるジャーナリストというかたと理解した。

NASHとは?
さて、本題のNASHというのはどのような病気か。

この病気は、「お酒の飲みすぎではなく、肝臓に脂肪がたまり、その影響で肝炎になった状態の病気」だそうだ。アルコールを飲むこととは関係なく脂肪肝になるというのがポイントのようだ。

この病気、1998年ころからようやく認知されるようになってきたという。一般には、まだまだ認知されてないようだ。日本語で、その病名は非アルコール性脂肪肝炎という。英語でNonalcoholic Steatohepatitisといい、これを略してNASHと呼ぶという。

何故NASHが注目されている?
肝炎ということではC型肝炎がよく知られている。これまで、肝臓ガンの7割がC型肝炎が原因とされてきた。しかし、このC型肝炎については原因のウィルスに対抗する薬が開発され、今や、不治の病気ではなくなった。これにより肝臓がんは、今後、減ってゆくことが期待されている。

C型肝炎に代わって、肝臓がんの原因として注目されるようになったのが、非ウィルス性の脂肪肝を通じてガンになるケースだという。

脂肪肝というのは、肝臓に脂肪が貯まり3割以上が脂肪となった状態を指すようだ。この状態を放置しておくと肝炎を発症してしまうという。脂肪肝には、2種あり、たくさんのお酒を飲んでなるのがアルコール性脂肪肝、もうひとつがお酒を全然飲まないのになってしまうのが非アルコール性脂肪肝だ。

肝臓自体が大きく再生力のある臓器であることから、脂肪肝になってもなかなか自覚症状がない。お酒を飲むひとにとっては肝臓の状態を気にしながらお酒をたしなむということもあるが、お酒を飲まないひとにとっては自覚なく脂肪肝の状態になってしまう。

日本では、非アルコール性の脂肪肝になっているひとはおよそ2000万人と言われている。この数字、大きく見積もったものではあるが、これくらいはいるだろうといわれている。

脂肪肝を放置しておくと、10~20%が脂肪肝から肝炎に進行し、非アルコール性の脂肪肝炎、即ちNASHになるという。さらに、その10~20%ぐらいが肝硬変に進行するようだ。そのうち一部のひとは肝硬変から肝臓がんになる。

NASHの原因は? :
このNASHという病気の原因は、なんといっても「食べ過ぎ」だという。

ごはんとかパンなどの炭水化物は体内でブドウ糖に変わる。そして、肉の脂身とか揚げ物の油といったものは、体内で脂肪酸に変わる。このブドウ糖とか脂肪酸は、本来は、エネルギー、パワーの源であるが、食べ過ぎると肝臓のなかで中性脂肪になり、脂肪の多い肝臓、脂肪肝の原因になる。

脂肪肝の検査
脂肪肝になっても自覚症状はない。脂肪肝になっていることを見出すには検査が必要だ。検査の方法のひとつは血液検査、そしてもうひとつは超音波検査だ。

まず血液検査。脂肪肝という状態だとγ―GTPが高いとか、GOTとかGPTといった肝機能を示す数値が高くなることが知られている。γーGTPは、基本的には、アルコールにだけ反応するものだから、お酒を飲まないでこの数値が高いということから異常と判定できる。そして、肝臓が炎症を起こしていると血小板の数値に異常が現れ、それにより判断することができる。

超音波検査。脂肪が多くなると肝臓が白っぽく見え油の肉の差しがはいっているような感じになるが、超音波検査によりそうした異常な状態を見出すことができる。異常を認めると、細胞を顕微鏡でみることによりNASHかどうかを判定できる。

NASHの治療と予防法、改善策
NASHを治療するには、薬の服用そして生活習慣を改善しなければならない。

ただ、治療するうえで考えておかねばならないことがある。NASHを発症しているひとは、糖尿病とか脂質異常症、さらには高血圧、肥満と合併していることが多く、薬を服用するにあたって注意が必要になる。例えば、糖尿病の場合、インシュリンを使うことが多いといったことが知られているが、なかには肝臓を悪化させるものもあり、十分な注意が必要である。

このNASHというのは新しい医療分野であるため、ようやく2014年に薬のガイドラインができたところだ。生活習慣病をもっているひとは、NASHを治療する際には、医者と十分に相談する必要がある。薬の飲み合わせというのが難しい。

一般に、NASHにはビタミンEを服用するのが良い。ビタミンEには中性脂肪を抑える効果があることが知られている。

NASHの予防法、改善法として主だったものに3つある。

ひとつは運動。うっすら汗をかく程度の運動をするのが大切だ。20~30分程度の早歩きをするのがよい。これで体内の脂肪を燃焼させることができる。筋肉は第2の肝臓と呼ばれており脂肪を燃やすのに最適なものといえる。

二つ目は食事。特に間食をしないというのが大切だ。そして夜寝る2時間前以降は食事をしないというのが基本。

三つ目はビタミンEを食事でも摂るようにする。ビタミンEを含む食事には、アーモンドとか青魚がある。アーモンドはカロリーが高いので食べ過ぎには注意が必要であるが、片方の手にいっぱいとなる程度を目安に食べるとよい。

食事の基本はバランスが重要。とにかく彩のいい、7色の色がぱっと見える食事をするのが大切。

まとめると、NASHは薬の服用と生活習慣の改善で、大体1か月くらい、結構、早く改善することが知られている。

解説を聞いた感想
平易に、素人にわかりやすく解説されていると思った。

ただ、1年前に糖尿病との診断をくだされたものとしては、NASHと糖尿病との関連をもっと踏み込んで解説されると良いのではと思った。

しかし、解説をした松井さんのバックグランドが医学ではないのには驚いた。失礼ながら、そんなことでいいのかな?なんて考えてしまった。

専門家が一般のひととコミュニケートするのは難しいことなのかな、なんて考えてしまった。なんか、しっくりこない、という感じもしなくはなかった。
   
   


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