老後資金の考え方
February 8, 2018 – 5:08 pm図書館にでかけたら、文芸春秋の(昨年の)10月号に「大特集 定年後の常識が変わった」なる特集があるのを知った。
このなかに、岩崎日出俊の「老後資金一億円をどう作るか 退職金は投資信託よりも定期預金が鉄則」とタイトルされた解説記事をみつけた。老後資金に一億が必要という話はよく耳にするが、何を根拠にこんな話になっているのかよく理解していなかった。このあたり、この記事が、それなりに、良く解説しているように感じた。
退職して10数年が経ってしまっているので、今更、定年後について考えるのもいかがなものかとは思ったが、この解説記事が、今後の年金生活を考えるうえで、それなりの考える枠組みを提供しているのように思った。以下、自分なりに記事の内容をアレンジしながらメモしておいた。
定年後に必要なお金の計算に使う三つの変数:
この解説記事の著者、岩崎日出俊、老後資金の考える基本、定年後に必要なお金の計算方法について次のように解説している。
定年後に必要なお金も、キャッシュフローからみていけばいいのではないかと考えました。
「第二の人生」で必要なお金の計算に使う変数は、主に三つしかありません。
- 自分と配偶者が何歳まで生きるか
- 毎月の支出はどれくらいあるか
- 毎月の収入はどれくらいあるか
この三つの数字がわかれば、ほぼ計算できてしまうのです。
なるほどということで、この三つの変数について以下メモ:
私たちは何歳まで生きる?:
平均的な寿命を基礎に考えると、夫婦ともに90歳まで生きると仮定してよさそう。この根拠に、厚労省発表の「平成28年簡易生命表」が参考になる。ま、常識的に考えるとそんなとこだな。
本ブログでも私自身の「余命」を「平成28年簡易生命表」を参考に算出したことがある(「69歳の私 平均余命 ほぼ17年」参照)。この雑誌記事と同じデータを使っている。ほぼ、夫婦とも90歳まで生き延びると仮定するのはよさそうな気がする。
毎月の支出は?:
毎月の支出は「総務省統計局の家計調査」が参考になる。
この家計調査によると、「世帯主が六十歳以上の家庭は月の消費支出が平均で約256,000円」となっている。夫婦ともに90歳まで生きると仮定するわけだから、60歳で定年した後30年間の支出総額は約九千二百万円となる。
これに「家の補修費、車の買い替えなどの臨時の支出」そして「晩年のヘルパーさんのお手伝いなどの介護関連の支出」に対応する出費を数百万円程度組み込むと、60歳定年時に必要な老後資金は、大体、平均的な支出の総額を積み重ねることにより、世帯当たり一億円と算出される。
これが、よく聞く、老後に必要な資金は一億円というのに対応するようだ。
毎月の収入は? そして 支出を考慮した収支は?:
毎月の収入は、当然ながら、年金の受給。この雑誌記事によると、世帯あたりの年金受給額、夫婦ふたりの年金受給額は、平均約204,000円になるという。
この算出には、「厚生年金保険・国民年金事業の概況(平成28年分)」を参考にする。
この概況には、「厚生年金保険(第一号)受給者の平均年金月額は、平成28年度末現在で、老齢年金は14万8千円となっている」とある。そして、配偶者の年金額に対応部分の記述として「国民年金受給者の老齢年金の平均年金月額は、平成28年度末現在で5万5千円、平成28年度新規裁定者で5万2千円となっている」となっている。
この二つから計算すると、平均的な受給額は夫婦ふたりで月203,000円(解説記事では,
204,000円となっている)になる。
収入を年金受給分だけとすると、前項の支出から毎月53,000円の赤字となる。夫婦ともに九十歳まで生き延びる、定年後30年間にわたってこの不足分を積算すると千九百万円の赤字となる。「臨時」そして「介護」の支出として八百万円程度を考慮すると二千七百万円が不足ということになる。
不足分(二千~三千万円)をどう賄う?:
以上の議論で、年金受給だけで老後の生活を維持しようと考えると、夫婦ふたりで、二千七百万円の不足が生じることになる。
不足分をどうするかってのが老後資金の課題ってことになるわけだ。そうはいうものの、既に歳をかさねてしまっているので、新しい稼ぎ先を探すというのは現実的ではない。それに、夫婦そろって定年後30年間生きるという仮定も粗すぎるような感じもする。もっと、詳細な検討が必要ではないか、と思ったりする。
考えられる方策を一応ならべておこう。今後、少しづつ考えておくことにする。少しは、真面目に考える枠組みにはなるのかもしれない。
- 工夫をして節約をし、支出を抑制する 耐乏生活の道だな いやだな
- 手元の蓄えを投資することで収入を増やす リスクをとる 怖いな
- 自ら新規事業を立ち上げる なかなか大変だ
- 老人でもできそうな働き口を見つける いまさら人に使われるのもなーー
ま、ゆっくり考えることにしよう。
これを機会に、老後資金について、より詳細なモデルを作って考えてみるのも悪くないな、なんて思ったりした。