3年前のニュース: 福島第一事故時の運転操作手順書が全面公開

October 25, 2014 – 10:05 am

3年前の今日(2011年10月25日(火))放送のTBS森本毅朗スタンバイで聴いた原子力問題関連ニュース:

原子力安全保安院は昨日これまで東京電力が黒く塗りつぶして提出していた福島第一原発の事故時に使われた運転操作手順書を全面公開しました。公開された手順書でもすべての電源が長時間にわたって失われた場合を考慮していないなどあらためて想定の甘さがうきぼりになりました。

事故が発生した際にとられる対応・措置は、おおまかにいって次のふたつになると考える。

  1. 起きうる事故状況を想定し、それらの想定に即してあらかじめ対応措置を細かく定めている運転操作手順書に基づき対応する
  2. 実際の事故においては、事故前に想定してなかった事故的状況が発生することが予想される。当然のことながら、こうした事態に対しては、対応措置を定めた手順書は存在しない。
    こうした事態の発生に際しては、運転操作を担当するものは、原子力システムの構造、動作原理などについての知識をもとに創意的な操作方法を編み出し対応する

ニュースでは、事故時の運転操作手順書では、「長時間の電源喪失」を想定してないものであり、これが問題だったとしているように見受けられる。事故に対する対応・措置として、上述の一番目の考え方を当然としている。

しかし、原子力システムのような巨大で複雑なシステムについて、すべての事故的状況を想定することには無理がある。実際の事故に際しては、どうしても2番目にあげた「創意的」な操作方法を編み出す対応する」といった場面に遭遇することになる。こうした事態に遭遇し、成功裏に事故的状況を収束できるかどうかは、運転操作担当者の能力そしてなんらかの「幸運」にすがるしかないのである。

「運転操作担当者の能力」と「幸運」に事故対応の成否を委ねるにしては、原子力事故の影響の大きさは余りにも大きい。これこそが我々に福島第一事故の現実が教えてくれたものではないのだろうか。


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