スイス国民投票 原発にNO!
May 23, 2017 – 11:46 am今朝のワールドニュース(NHK・BS) France2でスイスの国民投票で脱原発を進める政府プラン支持派の勝利を報じていた。
スイスの原発は、日本とは経済規模が異なるとはいえ、電力の約三分の一を占めている。今回のスイス国民投票の結果は、ヨーロッパの脱原発の流れをさらに加速するものと考えられる。
日経Web版の速報記事:
この国民投票については、日経Web版(5/22 9:33)「スイス、脱原発で再生エネ拡大 国民投票で可決」でも報じられていた。日経記事のリード文は以下:
スイスは21日、原子力発電所への依存度を下げる政府の長期エネルギー戦略の賛否を問う国民投票を実施し、賛成が多数となった。原発の新設を禁止し、代わりに再生可能エネルギーの利用を増やす。公共放送RTSによると賛成が58.2%、反対は41.8%だった。
上掲の日経Web版によれば、「電力の3分の1を原子力に依存」しているが、今回の国民投票の結果により支持された「長期エネルギー戦略」により「既存の原発は安全性が確保できなくなった段階で解体していく」ことになるという。
france24.com の記事「Swiss voters back ban on building new nuclear plants」でこのニュースについて多少詳しく報じられている。そのリード文は以下:
Swiss voters backed the government’s plan to provide billions of dollars in subsidies for renewable energy, ban new nuclear plants and help bail out struggling utilities in a binding referendum on Sunday.
この記事のなかで興味深い部分を以下、仮訳しておいた:
今回可決された政府の「長期エネルギー戦略」のもとでは、、風力、太陽光、水力発電に投資するため、電気利用者は年間4億8千万スイスフランを負担することになる。さらに現行の化石燃料税から4億5千万スイスフランを確保し2035年までに2000年のレベルの43%の省エネを達成する。
現行のスイスのエネルギー生産量は、50%が水力、35%が原子力であり、太陽光と風力による発電は5%にも満たない。新法のもとでは、太陽光、風力、バイオマス、地熱による発電量は、現在の2,381GWhから2035年までに11,400GWhに増加することになる。
また、この法律では、水力発電事業者を援助することになっているが、事業者の発電コストはヨーロッパの卸価格を超えている。
(原文)
Under the law, 480 million francs will be raised annually from electricity users to fund investment in wind, solar and hydro power. An additional 450 million francs will be set aside from an existing fossil fuels tax to help cut energy use in buildings by 43 percent by 2035 compared with 2000 levels.
Solar and wind now account for less than five percent of Switzerland’s energy output, compared with 60 percent for hydro and 35 percent for nuclear. Under the new law, power from solar, wind, biomass and geothermal sources would rise to at least 11,400 gigawatt hours (GWh) by 2035 from 2,831 GWh now.
The law will ban building new nuclear plants. Switzerland has five plants, with the first slated to close in 2019. Voters have not set a firm deadline for the rest, allowing them to run as long as they meet safety standards.
The law also helps utilities that now rely on hydropower, and whose costs exceed Europe’s wholesale prices.
スイスにおいては、「有権者は一定数の署名を集めれば国レベルの国民投票を要求できる」(参考サイト)という仕組みになっているようだ。従って、主要な政策については、かなりの頻度で政策の可否を国民投票で決することになっているという。
政府の「長期エネルギー戦略」の可否をこの仕組みのもとで決したものとなった。この「エネルギー戦略」がどのように実行に移されてゆくのか興味深い。