インターネット時代には欧米の「直線型思考」が有利

October 18, 2009 – 8:22 pm

鳥飼玖美子さんの「歴史をかえた誤訳」のなかで、英米語圏と日本を含む東洋語圏の思考方法の相違について説明されていた。英米語圏では「直線型思考」をとるのに対し、日本語を含む東洋語圏では「渦巻き型」の思考方法をとるという。インターネット時代では、自分がもっとも主張したいことを最初にもってくる「直線的思考」が有利だという。文章を書くうえで大切なことが述べられているように感じた。メモしておいた。

英語の文章構成の基本について、この「歴史をかえた誤訳」のなかで、次のように説明されている(以下、抜粋)。

英文の構成上、最も重要な要素はパラグラフ 日本文の「段落」とあまりに似て非である。

ひとつのパラグラフの中には主題が必ずひとつあり、主題が別にある場合は、新たなパラグラフを作る。ひとつのパラグラフにはひとつの主題が鉄則である。

ひとつのパラグラフはいくつかの文章から成立するが、個々の文章はそれぞれ相互的な関連を持ち、パラグラフの主題を敷衍するために連結している。
パラグラフがいくつか集まると、まとまったパッセージをなす。こられのパラグラフはそれぞれが意味的に密接な関連を保って連結しており、同一パラグラフ内の内部機能と同じような機能を果たす。

各パラグラフ内でもっとも重要な文章は、主題文(topic sentence)と呼ばれ、この中に当該パラグラフの大意が含まれている。「トピック・センテンス」は通常、パラグラフの最初に登場する。むろん、二番目にきたり、あとにくることもありえるが、おおむね、いちばんはじめの文章がそのパラグラフ全体の主題を表す文章である。あとに続く文章は、そのトピック・センテンスをサポートする支持文(supporting sentence)である。パラグラフの最後にくるのは結論(conclusion)である。

この基本的なパラグラフの内部構成は、パラグラフ同士の連結にかんしても同じである。まず冒頭で導入のパラグラフ(introduction)をおき、ここで全体的な主題を提示する。次に、いくつかのサポートするパラグラフ(supporting paragraphs, discussion body)で、主題について敷衍する。例証や解説をしたり、分類や比較対照したり、因果関係を示したり、理由や定義をのべたりと、さまざまな形式をとるが、つまり具体的な各論である。最後に、主題を要約した結論のパラグラフ(concluding paragraph)がくる。

このうちもっとも大切なのは主題を紹介するパラグラフである。この導入パラグラフ内の結論文はとくに重要でthesis statementと呼ばれる。「テーマ・センテンス」とでもいうほかないが、要は全体のテーマを凝縮した文章で、第一番目のパラグラフの最後にくる。ここで書き手は話のテーマについて自分がどのような意見を述べようとしているかを、明示する。

 つまり英語の論理構成では、ともかく肝心なこと、自分がもっとも主張したいことを最初に述べておき、あとは細部にわたる説明をし、説得するのである。英語の論理構成が直線的だとされるゆえんである。換言すると、冒頭のパラグラフさえ読めば、全部を読まなくても、問題の所在がどこにあり、筆者はそれに対しどのような立場をとるのか、という要点が把握できる。(pp.241-243)

なるほどと思う。そして、

 インターネットや電子メールになると、それだけでも情報が多いので、受けてはつねに読むかどうかの決断を迫られ、一見してつまらなさそうなもの、自分に関係なさそうなものは、読まないで飛ばすか、ゴミ箱に捨てることになる。そこで、読んでもらえるかどうかの決め手は、最初にどれだけインパクトのあることを書くかにかかってくる。そうなるとどうしても、冒頭で重要メッセージを簡潔に提示する直線型構成が強くなる。(p.245)

インターネット上の文章は直線型構成が有利だというわけだ。こうした直線型の構成をとろうとすると、あらかじめ自からが主張したいことが明確になっていなければならない。更に、その主張は構造化される必要がある。文章を書きながら自分の考えていることは何かなんて考えるというのは愚の骨頂ということになるようだ。

自分のブログの文章、こういう見方をすると、とても褒められたものではない。落第点だ。まじめに文章の書き方を勉強しなければならないな、と反省。


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