福島第一事故による放射線被曝をどう考えればよいか(その8)

November 25, 2011 – 12:10 am

 環境中の放射性物質からの被曝をさける方策のひとつとして、個々人が「食べものに気をつける」ということがあげられる。「食べものに気をつける」という点で興味深いデータが、高木仁三郎著作集の第2巻に収められた「食卓にのぼった死の灰」にあった。右図に示すものだ。

 この図は、チェルノブィリ事故の際に、ドイツ・ハンブルクで人体中のセシウム(134+137)を「食物に気をつかわなかった人」と「食物に気をつけた人」のグループそれぞれについて人体中の放射能の時間変化を示したものだという。

このデータについて、「食卓にのぼった死の灰」では、以下のように記述されている。

図は、西ドイツのハンブルクで1987年に報告されたデータだが、事故後の食生活が人体の汚染にどのように影響したかのグラフをみると、チェルノブイリの事故後、食品を通して入ったセシウムによって、汚染が体内に蓄積していくさまがありありとわかる。興味深いのは、食生活に気をつけた人(汚染の高いものを避けたひと)と食生活に気をつかわなかったひとの汚染度の差が歴然としていることだ。適切な対策の必要性がわかるだろう。(高木仁三郎著作集第2巻 p.91)

親御さんたちが幼児、子供の食生活に気をつかっている話しを良くきく。食品の放射能濃度については、かなり厳しくチェックされており、基準値を上回るものについては市場に出回らないようなされているので、少し神経質すぎるのではないか、と思うこともある。が、しかしだ。上記のようなデータを見ると、やはり個々人の努力、対策は必要だな、と思ってしまう。

ここで示されているデータがどのように測定されたものであるのか、そしてどのように「食物に気をつけ」たのか、ということについて記述がないため科学的な判断を下すには不十分なデータとは思うのであるが、・・・。

ストロンチウムについてはどうだろう。放射能による汚染食品の問題、セシウムについては食品の放射能濃度はかなり正確に測定できる条件は整ってきたとは思う。しかし、ストロンチウムはガンマ線を放出しないので、個々の食品の放射能濃度を測定するのは結構難しい。一筋縄ではいかないはずだ。現状では、セシウムのように食品中の濃度を測定し、コントロールできていないように思う。専門家に聞いてみたいところだ。

このあたりを考えると、個々人が「食物に気をつける」必要は、確かにあるのでは、と思ってしまう。どうなんだろう・・・。


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