社会保険料を「打ち出の小づち」のように扱うな!

June 10, 2025 – 5:25 pm

今国会で、年金制度改革法案が成立する見通しになっている。

自民党の法案提出時には厚生年金を流用した基礎(国民)年金保険料の底上げに使うことはしないことになっていたが、立憲民主党は、これを「あんこのない饅頭」などと揶揄し、強引に取り込むことにさせてしまった。全く、無原則、無責任な修正となってしまった。

年金積立金は、その大部分は厚生年金加入者に支払われた保険金を積み立てたものだ。国民年金による積み立て部分とは全く異なる枠組みであるはずだ。いつの間にか、基礎年金という名づける国民年金の枠組みに流用するというのにはあきれてしまう。

今回の改革案では週20時間以上働くパートへの社会保険適用を進め、さらには50人以下の企業についても段階的に広げるということのようだ。ただ、新たに厚生年金の加入要件を満たすことになると第3号被保険者の対象者からはずれる。パートで働く人々にとっては、厚生年金受給資格を得るかわりに、いままでの第3号被保険者の枠組みからはずれてしまうので、「働き損」というおかしな状況が生まれる。本来、第3号被保険という仕組みを廃止し、年金保険制度を合理的なものに変更すればいいのに、中途半端でおかしな仕組みにしてしまう。

どうも、この「改革」で生じる矛盾を隠蔽するのにも、巧妙に厚生年金の流用が行われてるようだ。

日経電子版に「年金改革、真の「流用」見誤るな 不公平なパート保険料肩代わり」と題する解説記事がでていた。この記事に、そのあたりのことがきちんと解説されている。

この記事の最後のほうに、年金制度の問題点について的を得た一文があった。以下のようなものだ:

近年の社会保障改革では、給付以外の政策目的のために保険料を流用する動きが目立つ。今国会で審議中の医療法改正案にも、医師不足地域で従事する医師への手当を医療保険料で賄う方針が盛り込まれている。「打ち出の小づち」のように保険料を扱えば、負担増への国民の反発は一段と強まるだろう。

なんでもかんでも、社会保障の枠組みであれば、われわれの積み立てた保険料を「打ち出のこづち」のように使われたらたまらない。異なる費目に流用することは、常識的な社会では、犯罪になる。こうした無茶苦茶の保険料の流用という手を「正義のみかた」ぶる立憲民主党候補を次期の国政選挙で全て落選させなければならない。

国民をペテンにかけるようなことをしてはいけない。立憲民主党だけでなく、自民党もきちんと筋を通すべきだ。ますます複雑でおかしな仕組みになる年金制度だ。
 


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